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毎日新聞 2022/1/7 21:47(最終更新 1/7 21:49) 816文字




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記者団の質問に答える尾身茂・基本的対処方針分科会長(左)=東京都千代田区で2022年1月7日午前11時59分、原田啓之撮影

 新型コロナウイルス感染症対策を議論する政府の有識者会議「基本的対処方針分科会」の尾身茂会長は7日の記者会見で、オミクロン株の感染拡大を受けた緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置などの対策について「早く打たないと駄目ということはもう間違いない」と述べ、改めて危機感を示した。政府が検討していた観光振興策「GoToトラベル」について、「今はやる時期ではもちろんない」と強調。成人式のシーズンを迎える中、沖縄県などの感染拡大地域では飲食の機会をできるだけ控えるよう訴えた。

 分科会は同日の会議で、飲食店の酒提供を制限できる「まん延防止等重点措置」を沖縄、山口、広島の3県に適用することを了承した。記者会見は、この会議の終了直後に開かれ、尾身氏は3県への重点措置適用について「満場一致で異論はなかった」と説明。緊急事態宣言を求める意見はなかったが、オミクロン株は拡大のスピードが速く、宣言を含めた対策を「今までよりも前に打たなくてはいけないことは明らかだ」と述べた。



 尾身氏が会見で時間を割いて説明したのは、オミクロン株はこれまでの変異株より重症化リスクが低いとされているのになぜ強い対策を取るのか――についてだ。その理由について、自宅療養する軽症者数が急増して診療所や保健所が逼迫(ひっぱく)する▽欠勤者が増えて社会機能を維持できなくなる▽感染すると重症化しやすい高齢者への3回目接種が進んでいない――ことを挙げた。

 オミクロン株に対する新型コロナワクチンの感染予防効果が低いことから、ワクチン接種者の行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」を見直すと表明した。



 一方、ワクチンの3回目接種が進み、新たな治療薬が今後実用化される可能性があることを念頭に「2月中旬から、もう少しすれば明るい兆しが出てくる」との見通しを示した。「今まで学んだことを注意深くやっていけば、2月中旬くらいになると状況が変わります」と力説した。【原田啓之】