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2022/1/7 21:14


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新型コロナウイルス感染症対策本部会合で、沖縄、広島、山口3県への「まん延防止等重点措置」適用を表明する岸田文雄首相=7日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)

岸田文雄首相が新型コロナウイルスの感染が拡大する沖縄、広島、山口の3県について、緊急事態宣言に準じる「蔓延(まんえん)防止等重点措置」の適用に踏み切ったのは、絶えず意識してきた「先手先手の対応」で封じ込めを図るためだ。ただ、行動制限を伴う重点措置は長期化すれば経済への影響も避けられない「もろ刃の剣」でもある。11日に就任100日を迎える首相の政権運営は正念場を迎えた。

「やるなら、なるべく早くやろう。速やかにやろう」

沖縄県の新規感染者数が600人を超えた5日。首相は、事務方から翌6日にはさらに感染者が増える見通しだとの報告を受けると、即座に重点措置の適用を決断した。

「最悪の事態を想定した危機管理」を掲げる首相は、これまでのコロナ対応でもスピード感を意識してきた。昨年11月には新変異株「オミクロン株」の感染拡大を見越し、外国人の入国を全面停止する水際対策の強化に踏み切った。

「先手、先手だ」。首相は3県への重点措置適用を表明した6日夜、周囲にこう語った。政府が昨年11月に策定した新たな指標では、重点措置は「レベル2」から適用できることになっている。沖縄は4日にレベル2に達していたが、広島と山口がこの水準に至ったのは6日になってからだった。首相周辺は「最速で決定したということだ」と解説する。

重点措置の適用を3連休中の9日にしたのも、人の往来や会食が盛んになる成人式を念頭に置いてのことだ。

ただ、首相が信条とする「先手」が今回も奏功するかは不透明だ。飲食店の営業時間短縮など国民生活を制約する宣言や重点措置は、長期化した場合、政権に不満の矛先が向く恐れがある。菅義偉前政権では宣言を繰り返すたびに支持率が下落し、政権を運営する体力を失った。

「感染者数が増えれば、世論は危機感を抱く。コロナ禍でも『経済を制限しない』と割り切る国もあるが、日本はそうではない」。官邸関係者はこうジレンマを語った。(永原慎吾)