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毎日新聞 2022/1/9 14:35(最終更新 1/9 14:35) 有料記事 2565文字




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ネットメディア「Choose Life Project」(CLP)のホームページ画面

 インターネット報道番組を制作・配信するネットメディア「Choose Life Project」(CLP)が、立憲民主党から「番組制作費」として約1500万円の資金提供を受け、その事実を伏せていた問題が発覚した。政権批判などを行う“リベラルなウェブメディア”として注目されていたが、政権与党と等しく報道対象とすべき野党との資金面での関係が明らかになり、中立性が問われる事態になった。メディアの在り方に詳しい識者や、ネットメディアを主宰するジャーナリストは、この問題をどう見るのだろうか。【塩田彩/デジタル報道センター】

検察庁法改正問題などで存在感
 CLP(佐治洋、工藤剛史・共同代表)のウェブサイトなどによると、テレビ局のディレクターだった佐治氏らは2016年にCLPを発足させ、動画投稿サイト「ユーチューブ」や運営するウェブサイトなどで、著名人が選挙への投票を呼びかける動画を主に制作して配信。20年からは、時事問題について有識者や国会議員らが議論したり、メッセージを寄せたりする内容の動画コンテンツを多く配信してきた。人権や貧困、差別の問題などの他、政治の問題を多く扱い、20年の検察庁法改正問題では野党幹部の記者会見などを次々と企画し、同年の日本学術会議任命拒否問題の際には、政府から任命拒否された研究者を登場させた討論番組などを配信し、ネット上で存在感を増した。

運営資金に悩み、立憲が支援
 20年7月には法人化し、佐治氏を代表取締役に株式会社「CLP」を設立。自由で公正な社会のための「公共メディア」「広告に依(よ)らない、市民スポンサー型のメディア」を標ぼうして、資金調達のために同月からクラウドファンディング(CF)を始め、21年1月には市民が継続的に寄付するサポーター制度を整え、運営してきた。

 佐治氏が今月6日にCLPのサイト上で公表したコメントによると、CLPは法人化前の20年3月以降、立憲側から広告代理店や制作会社を通じ、約1500万円の資金提供を受けた。運営資金に悩んでいた際に、佐治氏が当時立憲の幹事長だった福山哲郎氏に話をしたところ、番組制作で支援してもらうことになったと説明。その後、CFが開始され、立憲側に申し出て資金提供が終了したという。だが、こうした事実は、今月5日に過去の番組出演者らが公開抗議文を出すまで、伏せたまま運営を続けていた。

政党資金提供「報道倫理上の問題明白」
 立教大の砂川浩慶教授(メディア論)は一連の問題について、「テレビ局に対する放送法のように、ネット通信メディアを規制する法律はなく、この資金提供に違法性はありません」としながらも、「政党がメディアに資金を出し、それが明らかにされていないということは、世論操作を是認することにつながります。報道倫理上の問題があるのは明らかです」と指摘した。

 立憲の福山氏は6日に発表したコメントで「CLPの理念に共感したため、自立できるまでの期間だけ番組制作を支援」することになったと説明し、番組内容への関与は否定した。だが、砂川教授は「一般的には『影響はない』とは見られないでしょう。信用を失ってはメディ…

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