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毎日新聞 2022/1/10 07:00(最終更新 1/10 07:00) 有料記事 1776文字




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無添加のせっけん=2022年1月7日、河内敏康撮影(画像の一部を加工しています)

 人や環境に優しいとされるせっけんは、有害性のある化学物質か――。そんな検討が政府内で今も続いている。天然の油脂から作られるせっけんは、昔から手や体の洗浄、衣服の洗濯などに使われてきたが、なぜなのか。【金秀蓮】

せっけんが有害な化学物質の候補に
 「ゼロベースで対応すべきだ。除外を検討してほしい」。昨年11月上旬、無添加せっけんの製造販売会社「シャボン玉石けん」(北九州市)の森田隼人社長は環境省を訪れ、こう訴えた。

 ことの発端は2020年2月にさかのぼる。「化学物質排出把握管理促進法」(化管法)に基づくPRTR制度では、人の健康や生態系に有害な恐れがあると国が判断した化学物質を「第一種指定化学物質」として定めている。対象物質になれば、事業者は排出量などを国に届け出なければならない。対象物質のリストは10年に1度見直されており、せっけんがその候補に挙げられたのだ。

 せっけんは、動植物の油脂をカリウムやナトリウムでけん化して作られる。その主成分は「飽和・不飽和脂肪酸カリウム塩」と「飽和・不飽和脂肪酸ナトリウム塩」だ。自然に戻れば環境や生態系への悪影響は少ないとされてきた。せっけんを含む生活水は、排水後に大部分が水や二酸化炭素に分解されるからだ。

候補とされた流れ
 なぜせっけんが第一種指定化学物質の候補とされたのか。背景には、化管法とは別の法律の存在がある。…

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