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毎日新聞 2022/1/11 17:45(最終更新 1/11 17:45) 657文字




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ロシア国旗=ゲッティ

 ロシアのリャプコフ外務次官は10日、米露の「戦略的安定性に関する対話」の後、記者団に「ウクライナに侵攻する計画や理由はない」と主張した。その一方で、北大西洋条約機構(NATO)などの軍事活動を理由にロシア領内で訓練や演習を強化する意向を表明。ウクライナ情勢やNATOの拡大問題などで強硬姿勢は崩さず、米露の隔たりが改めて浮き彫りになった。

 ロシアメディアによると、リャプコフ氏は約8時間に及んだ会談を「複雑だが、非常に専門的で深く、具体的だった」と指摘。「米側がロシアの(安全保障に関する)提案に非常に真剣な態度を取っていた」と一定の評価を与え、今回の協議を「絶望的ではない」と述べた。



 一方で、旧ソ連のウクライナなどへのNATO拡大については「我々にとって極めて重大な問題だ」と改めて不拡大の保証を求める考えを表明。ロシア軍部隊がウクライナ国境付近に集結していることから軍事侵攻の恐れが指摘されていることについては「偽情報」だと一蹴。ウクライナ情勢を巡る緊張緩和の道筋は立っていない。

 米側が提案した中距離核戦力(INF)全廃条約を基にするミサイルの管理については「他のより大きな政治的問題の解決にかかっている」と、慎重な姿勢を見せた。



 リャプコフ氏は「協議の期限は設けていない」と話したが、「我々はただ早く前に進みたい」と米国やNATOに迅速な対応を要求。今後の協議の行方については、12日のNATOとの協議や13日の全欧安保協力機構(OSCE)での協議の結果によって左右されるとの見通しを示した。【前谷宏】