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毎日新聞 2022/1/13 06:00(最終更新 1/13 06:00) 有料記事 2227文字




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「薬物のように過激主義に溺れた」と話す元KKK幹部のクリス・バックリーさん=米南部テネシー州チャタヌーガで2021年12月28日午後4時52分、鈴木一生撮影

 米国で白人至上主義や極右団体などの過激主義者による「国内テロ」が大きな脅威となっている。2021年1月6日に起きたトランプ前大統領の支持者らによる連邦議会襲撃事件には、多くの退役軍人らが関与していた。合衆国憲法に忠誠を誓ったはずの軍隊経験者の一部が、過激な思想にはまり米国の民主主義を脅かす存在になっている。「ポスト『民主主義』の世界」米国編の最終回は、白人至上主義団体に身を置いたある男性の「告白」を紹介する。

 「ホワイトパワー(白人の力)」。米南部アラバマ州の森の広場。黒い三角頭巾とガウンで全身を覆ったクリス・バックリーさん(38)が左手を掲げて叫ぶと、隣の4歳だった長男が幼い声で復唱した。

 英BBC放送が2015年に制作した白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」のドキュメンタリーの一場面。映像の中でバックリーさんが言い放った。「我々の伝統が差別なら、長男を差別主義者に育てるまでだ」

 南部ジョージア州に住むバックリーさんは、アフガニスタンに3回従軍した元米陸軍兵士。「今、映像を見ると吐き気をもよおす。長男に憎しみの感情を引き継ごうとしていた」と振り返る。



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