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[ 2022年1月16日 16:47 ]

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南太平洋・トンガ沖の海底火山で大規模な噴火が発生した(AP)
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 気象庁は16日14時00分に南太平洋・トンガ沖の海底火山噴火の影響による津波警報・津波注意報を全て解除したと発表。気象庁の担当者は記者会見で「このような海面変動は警報が解除されたからといってピタッと止まるわけではございません。なので例えば海の中での作業などをする場合は十分に注意してほしいです。今回のような海面変動が何故起きたのかというメカニズムについて分からないことが多い状況だということをご理解ください」と訴えかけた。

 トンガ沖の噴火は日本時間の15日午後1時ごろ発生。同庁は当初、噴火が発生したトンガから日本列島の間の海域で大きな津波が観測されなかったことから、日本への影響を「若干の海面変動の可能性はあるが、被害の心配はない」との情報を発表した。15日夜にかけて太平洋沿岸部で1メートル近い潮位変化が観測されたため、一転して警報と注意報を出した。潮位変化の第1波は午後7時58分、東京都の小笠原諸島・父島で観測し各地に広がった。トンガに近い海域の潮位変化は数十センチ程度だった。 

 気象庁の担当者は「潮位変化の津波かどうかまだ不明です。今回の潮位変化には津波の特徴というのが見られませんでした。我々は通常の津波なら理論的に到着時間というのが予想出来ます。当然、今回もその到着予定時刻に津波が到着するものと観測していたところ、予想の2時間半前に潮位変化が観測されてしまった。それによって我々はこれは津波じゃないんじゃないかということを考えました。本来、原因とされる火山から海を順番に伝搬してきて、日本に到達するというのが妥当なんですけど、途中の様子でほとんど振幅がありませんでした。このことから日本で観測された潮位変化は、どうも津波ではなさそうだと我々としては考えています」とコメント。

 “津波”ではないとしながらも警報を出したことについて「今回我々はこのような特異な海面変動、潮位変化というのをとっさに伝える手段というのがなかったので、津波警報・注意報という枠組みで皆さんにお知らせしたということになります」と説明した。

 警報を解除に至った経緯ついては「津波注意報・警報は解除されましたけど、海面変動の情報が継続して出ています。本来であればもう少し小さくなってから切り替えることになるんですけれども、十分に振幅の低下傾向は見えておりますし、これ以上大きな海面変動は恐らくないだろうと考えておりまして、今回解除することになりました」と説明。続けて「ただ、このような海面変動は警報が解除されたからといってピタッと止まるわけではございません。なので例えば海の中での作業、あるいは釣り等のレジャー、そういうものに関しては日頃と違うような海中の流れ、普段波が来ないような場所にも来る恐れがありますので十分注意してほしいです」と注意喚起した。

 この先注意すべき期間については「これは大変難しくて断言は出来ません。1日程度とは考えていますが、これも先ほど申し上げた通りピタッと収まるものではありません。今回のような海面変動が何故起き方というメカニズムについて分からないことが多い状況だということをご理解ください」と“異例の事態”に困惑している様子。

 今後については「大気圧の急激な変化が潮位変化の前に見られておりまして、これが直接どのように関係しているのかということを調査することになると思います。今回の経験を元によりよい対応が出来るように検討していきたいです」と答えた。