https://www.sankei.com/article/20220120-L6UR2NVWJNKXHKRVBKWEDUAZPM/
2022/1/20 15:40


他人のパソコンを暗号資産(仮想通貨)の「マイニング(採掘)」に無断利用するプログラムを自身が運営するウェブサイトに設置したとして不正指令電磁的記録保管の罪に問われたウェブデザイナーの男性(34)の上告審判決で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は20日、罰金10万円とした2審東京高裁判決を破棄し、無罪の判断を示した。1審の無罪判決が確定する。

問題となったのは、サイトを閲覧した人のパソコンの処理能力を勝手に利用し採掘を行わせる「コインハイブ」と呼ばれるプログラム。男性は平成29年10〜11月、運営する音楽サイトにコインハイブを設置し閲覧者のパソコンに採掘をさせたとして略式起訴されたが、これを不服として正式裁判を申し立てていた。

同罪は、コンピューターウイルスのような端末利用者の「意図に反した不正な動作」をさせるデータの作成・保管を禁じており、コインハイブに反意図性と不正性があるかが争われた。

1審横浜地裁は、反意図性があるとしつつも不正な指令を与えるプログラムとするには「合理的な疑いが残る」として無罪を言い渡した。2審は反意図性と不正性の両方を認定し逆転有罪としており、判断が分かれていたが、最高裁は1審判決を「是認できる」とした。

公判で男性側は、コインハイブはウイルスのようにパソコンに感染させるものではなく「閲覧者に重大な妨害はない」などと主張。コインハイブは、採掘で報酬として得た仮想通貨を、コインハイブの提供元と設置したサイト運営者に分配する仕組みだったが、男性の得た報酬は800円程度と少額だった。