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毎日新聞 2022/1/20 19:03(最終更新 1/20 19:03) 650文字




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衆院本会議で代表質問をする日本維新の会の馬場伸幸共同代表(手前)。奥中央は岸田文雄首相=国会内で2022年1月20日午後2時36分、竹内幹撮影

 岸田文雄首相の施政方針演説などに対する各党代表質問で「敵基地攻撃能力」に対する野党各党の立場の違いが表面化している。野党内には、政府が野党の足並みの乱れに乗じ、敵基地攻撃能力の保有に向けた検討を加速させかねないとの警戒感もある。

 日本維新の会の馬場伸幸共同代表は20日の衆院本会議で「いわゆる敵基地攻撃能力の保有は不可欠と考える」と断言。中道路線を強める国民民主党の玉木雄一郎代表も「北朝鮮などは迎撃困難な極超音速ミサイルなどの開発を進め、敵基地攻撃能力の保有の検討は必要だ」と前向きな姿勢を示した。



 これに対し、立憲民主党の泉健太代表は19日、敵基地攻撃能力の実効性に疑問を示し「敵基地攻撃を実行すれば全面戦争への突入も想定される」と懸念。政府が年末までに予定する国家安全保障戦略の改定に向け、野党も含めて国会で議論するよう求めたが、首相は「国民にも国会にも丁寧に説明したい」と述べるにとどめた。

 共産党の志位和夫委員長は20日、「日本を戦争する国に作りかえる動きに断固反対を貫く」と強調した。

 敵基地攻撃能力は、敵に攻撃される前にミサイル基地などをたたく能力。日本は「専守防衛」との整合性などから、従来、敵基地攻撃のための装備は保有してこなかった。



 野党内で賛否が二分される中、首相は20日の衆院本会議で「憲法および国際法の範囲内でしっかり議論し、いわゆる敵基地攻撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、これから現実的に検討を進めたい」と述べ、検討の進展に期待感を示した。【田所柳子、宮原健太】