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2022年01月20日20時32分

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ロシアのプーチン大統領=19日、モスクワ(AFP時事)




 【ワシントン時事】バイデン米大統領は19日、ホワイトハウスで行った記者会見で、緊張が続くウクライナ情勢について、「私の見立てでは(ロシアが)侵攻する」と述べ、軍事衝突の発生に危機感を示した。ただ、ロシアのプーチン大統領との首脳会談への意欲を示し、外交を通じた事態打開を諦めない姿勢も強調した。


 米政府は、ウクライナ国境周辺に展開するロシア軍の動向に関連し、プーチン氏が侵攻を決断していないと分析してきた。バイデン氏は、この分析よりも踏み込んだ認識を示した形だ。
 ロシアはウクライナへの軍事圧力を強め、米欧に北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大の停止などを要求。これに対し、米側は欧州と協調した強力な経済制裁を示唆し、ロシアの動きをけん制している。
 バイデン氏は会見で、プーチン氏が全面的な戦争は望んでおらず、「米国やNATO(の結束)を試そうとしている」と指摘。ロシア金融機関とのドル取引やロシアからのエネルギー供給の停止などの経済制裁に言及し、ウクライナ侵攻は「ロシアにとって大惨事となる」と警告した。ただ制裁に関し、NATO加盟国の間に「何ができるかについて意見の差がある」とも述べ、米欧の足並みをそろえることが重要だとの認識を表明した。
 一方、ロシア側が問題視するウクライナのNATO加盟について、バイデン氏は「近い将来はないだろう」と強調し、一定の配慮を示した。その上で「プーチン氏は、外交か制裁措置か厳しい選択を迫られている」と語り、対ウクライナ国境周辺からの部隊撤収などロシア側に緊張緩和に向けた行動を求めた。
 米欧とロシアは10〜13日に一連の協議を開催したが、主張の溝は埋まらずに平行線に終わった。ブリンケン米国務長官とロシアのラブロフ外相は21日、ジュネーブで対面形式で会談を開く予定。米高官は「ウクライナ侵攻がいつでも起こり得る段階にある」と警戒感を強めており、外相会談が事態打開につながるかは不透明だ。