https://mainichi.jp/articles/20220120/k00/00m/030/355000c

毎日新聞 2022/1/21 06:07(最終更新 1/21 06:07) 694文字




https://cdn.mainichi.jp/vol1/2021/04/19/20210419k0000m030009000p/9.jpg
日本とアメリカの国旗

 日米両政府は21日、核拡散防止条約(NPT)に関する共同声明を発表した。非核兵器保有国に加え核保有国も参加するNPTは核軍縮の「不可欠な基礎」だとし、8月にも予定される次回のNPT再検討会議で「意義ある成果」を出すべきだとした。核兵器の悲劇への理解を広げるため、各国の政治指導者や若者たちに「広島及び長崎を訪問」すべきだと呼びかけた。

 日米が核軍縮関連の共同声明を取りまとめるのは2015年以来で3回目。広島、長崎への訪問呼びかけは初めてで、被爆地・広島が地盤で「核兵器のない世界」を掲げる岸田文雄首相の意向が反映された。



 共同声明では広島、長崎への原爆投下は「世界の記憶に永遠に刻み込まれている」とし、広島、長崎以降「76年間に及ぶ核兵器の不使用の記録が維持されなければならない」と明記。16年のオバマ米大統領(当時)による広島訪問を紹介し、政治指導者らに「理解の向上・維持のため」、広島、長崎を「訪問するよう要請する」とした。

 核戦力増強を進める中国への「留意」を示し、核の透明性拡大に中国も貢献するよう求めるとした。弾道ミサイル発射を続ける北朝鮮に対しては、大量破壊兵器や弾道ミサイル発射を禁じた国連安全保障理事会決議の完全な履行を要求。原子力技術は気候変動対策などに有効だとし、原子力の平和利用に「明確な支持」を表明した。



 日米は当初、1月4日から米ニューヨークで予定されたNPT再検討会議に合わせて共同声明を発表する方針だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で会議が延期されたため、日本時間21日夜にオンライン形式で予定する日米首脳協議に先立ち発表する形に改めた。【飼手勇介】