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毎日新聞 2022/1/22 20:44(最終更新 1/22 20:44) 701文字




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核兵器禁止条約の発効1年を記念したオンラインイベントで、核軍縮を巡る日本の政策を採点したパネリストら=YouTubeより

 核兵器の保有、使用などを全面禁止する核兵器禁止条約の発効から1年となった22日、核兵器廃絶を求める団体でつくる「核兵器廃絶日本NGO連絡会」がオンラインで記念イベントを開いた。参加した核廃絶に取り組む団体関係者や学生らからは、歩みを始めたばかりの条約に期待する声とともに、条約への参加に消極的な態度を取る日本政府に厳しい意見が相次いだ。

 核禁条約は2020年10月、批准した国・地域が発効に必要な50に達し、21年1月22日に発効した。3月には核廃棄の検証などの枠組みを協議する初の締約国会議がオーストリア・ウィーンで予定されている。



 イベントでは4組のパネリストが、核軍縮を巡る日本の政策を「保有国に核軍縮を求めてきたか」など5項目について、5段階評価で採点。最終的な総合評価は、満点の100点に対し、38点だった。

 長崎大3年の中村楓さんは、広島1区選出の衆院議員でもある岸田文雄首相が「核兵器のない世界」の実現に向けて条約の意義を認める発言をしたことに言及。「以前より前向きに捉えているのは良い評価をすべきだが、具体的な行動は示されていない」とした。明治大法学部講師の小倉康久さんは「(我々は)首相の発言を言葉通りに受け止め、どうしてくれるのかと迫る展開に持っていくのがいいのでは」と提案した。



 連絡会共同代表で、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)代表委員の田中熙巳(てるみ)さん(89)は「対話を続け、核禁条約からどう核廃絶につなげるか議論していきたい」と述べた。イベントの司会をした立命館大大学院生の遠藤あかりさんは「条約はまだ1歳。私たちで育てていかなければ」と話した。【椋田佳代】