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毎日新聞 2022/1/26 19:48(最終更新 1/26 22:14) 733文字




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東京地裁=米田堅持撮影

 宅配代行サービス「ウーバーイーツ」の配達中に自転車で男性(当時78歳)に衝突して死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた東京都北区の会社員、岩野純也被告(28)は26日、東京地裁(鏡味薫裁判官)で開かれた初公判で起訴内容を認めた。検察側は「配達のため反復継続して自転車を運転する者には、特に重い注意義務が課されるが、安全を軽視する態度が認められる」として禁錮2年を求刑し、弁護側は執行猶予付きの判決を求めて結審した。判決は2月18日。

 起訴状によると、岩野被告は2021年4月17日午後7時ごろ、食品配達のため、東京都板橋区の道路をライトを装着しないまま自転車で時速約20〜25キロで走行し、横断歩道を渡っていた男性と衝突。男性を転倒させ、死亡させたとされる。




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「雨クエスト」が表示された配達員のスマートフォン画面。2020年2月26日の通知には、12回配達すると1200円の報酬が加算されると記されている=配達員の男性提供

 検察側は冒頭陳述で、当時は雨が降っており、ウーバーイーツから成果報酬が加算される荒天の条件下だったと指摘。被告は目に入った雨を拭いながらロードバイクを運転し、男性に気付いて急ブレーキをかけたが、間に合わなかったとした。論告で「食品配達のための自転車運転の危険性が、最も悲惨な形で現実化した」と批判した。

 岩野被告は被告人質問で「雨が目に入った際に自転車を止めればよかった。私の甘さが原因。取り返しのつかないことをしてしまった」と泣きながら謝罪を繰り返した。弁護側は、ウーバーイーツの配達員は上限1億円の賠償保険に加入しており、遺族に賠償金が支払われる見込みだとした。



 ウーバーイーツは日本で営業を始めた16年9月は加盟店約150店、配達員は約1000人だった。新型コロナウイルス禍で「巣ごもり需要」が増えたこともあり、21年10月現在は加盟店約13万店、配達員約10万人に拡大している。【遠藤浩二】