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毎日新聞 2022/1/28 11:31(最終更新 1/28 11:55) 582文字




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相川金銀山の坑道跡に展示されている鉱山労働者の人形。上田箸とタガネを使った採掘の様子を再現している=佐渡市の佐渡金山宗太夫坑で2021年12月4日午前10時55分、露木陽介撮影

 政府は28日、2023年の「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)の世界文化遺産登録に向け、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦する最終調整に入った。同日午後にも、岸田文雄首相が表明する。韓国の反発などで推薦見送りを検討していたが、自民党保守系の強い要求を受けて方針転換した。申請期限の2月1日までに推薦方針を閣議了解する。

 文化審議会は21年12月、佐渡島の金山を推薦候補に選んだ。だが、韓国政府が「かつて朝鮮半島出身者の強制労働の現場だった」などと反発。日本政府は韓国を2月1日までに説得するめどが立たないとし、いったんは推薦見送りに傾いた。



 これに対し、自民党の安倍晋三元首相ら保守系議員は「弱腰外交だ」などと批判を展開。政府は再検討を迫られ、岸田首相は24日、記者団に「政府としては、ぜひ登録を実現したい。どういう対応が効果的か、今総合的に検討している」と発言。27日のBS―TBS番組では「判断する時期が近づいている」と語っていた。

 佐渡の金山は「相川鶴子(つるし)金銀山」と「西三川砂金山」の二つの鉱山遺跡で構成される。17世紀には世界最大級の金の産出量を誇り、金の採取から精錬までを手作業で行っていた時代の遺跡が残っているのは世界的に例がないとされる。新潟県が、江戸時代の遺構の価値を強調し、世界文化遺産登録を強く求めていた。【川口峻、飼手勇介】