https://www.jiji.com/jc/article?k=2022020200839
2022年02月03日07時05分

https://www.jiji.com/news2/kiji_photos/202202/20220202at19S_p.jpg
ドイツのショルツ首相=1月21日、ベルリン(AFP時事)




 【ベルリン時事】昨年12月に発足したドイツ新政権が、ロシアとウクライナの緊張が高まる中で有効な手を打ち出せず、苦境に陥っている。脱原発・脱炭素が進行する中でロシア産ガス依存からの脱却は困難。第2次世界大戦の歴史的経緯が足かせとなりウクライナへの軍事支援にも慎重だ。米メディアには「ドイツはどこに?」(ニューヨーク・タイムズ紙)などと同盟国としての信頼性に疑問を投げ掛ける論調も出ている。


 ショルツ独首相は7日に就任後初めて訪米し、バイデン大統領と会談する。米国側の疑念を払拭(ふっしょく)できるかが焦点となりそうだ。
 ショルツ政権は年内に原発、早ければ2030年に石炭発電をそれぞれ全廃する目標を掲げている。再生可能エネルギー普及までの移行期は、石炭より二酸化炭素(CO2)排出が少ない天然ガスは「不可欠」と位置付ける。ドイツの一次エネルギー供給量に占めるガスの割合は1990年の約16%から、2020年に約27%に上昇。ガス輸入量のうち5割強はロシア産だ。ロシアからのガスパイプライン「ノルドストリーム2」を制裁対象にすることが検討されているが、実行すれば脱炭素への影響も必至で、対応は容易ではない。
 軍事支援でも、ショルツ政権はウクライナ側の軍艦供与などの要望を拒否する一方、「ヘルメット5000個」を送ると表明し、失望を招いた。第2次大戦では、ソ連支配下のウクライナは激しい戦場となり、ナチスによるユダヤ人虐殺もあって数百万人が死亡したとされる。このような経緯から、ドイツはウクライナへの軍事的関与に慎重で、メルケル前政権も武器供与を拒否している。ただ、西側の連帯のために武器供与を求める声が強まっており、政権は難しい判断を迫られそうだ。