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毎日新聞 2022/2/5 08:00(最終更新 2/5 08:00) 707文字




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首相官邸のホームページに掲載されたユーチューブ動画で対談する堀内氏(右)と河野氏

 堀内詔子ワクチン担当相は4日、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を呼びかけようと、河野太郎前ワクチン担当相との対談を収めたユーチューブ動画を首相官邸のホームページに掲載した。接種ペースが上がらない一因として「政権の発信力不足」が指摘される中、前任である河野氏の高い知名度に頼った形だ。

 約12分間の動画は河野氏が聞き役となり、堀内氏が3回目接種について解説。1、2回目と3回目でワクチンの種類が異なる「交差接種」について、堀内氏は米ファイザー社製に接種希望者が偏る事態を念頭に、「いずれのワクチンも、十分な効果と安全性が確認されている。早く打てる方を接種してほしい」とアピール。1、2回目に続いて3回目もモデルナ社製の接種を受ける予定と明かした河野氏は「私からも『接種券が届いたら、なるべく早く打ってください』と広く呼びかけたい」と後押しした。



 3回目の接種を終えた人は4日現在で約609万人(全人口の4・8%)と進んでいない。日本医師会の中川俊男会長は「要因の一つは、(政府の)情報発信の不十分さではないか」と苦言を呈している。

 今回のコラボレーション動画は、接種の遅れに焦る岸田文雄首相が、河野氏に「堀内氏を助けてほしい」と依頼したのがきっかけという。昨秋の自民党総裁選で首相の推薦人に名を連ねた堀内氏が閣僚ポストに就く一方、対立候補だった河野氏は党広報本部長に「降格」となった経緯もあり、新旧担当相の立場にとどまらない皮肉な組み合わせとなった。



 ただ、動画では、身ぶり手ぶりを交えて熱弁を振るう河野氏に対して、堀内氏は台本通りの「棒読み」が目立った。政府の発信力が問われる局面はまだ続きそうだ。【李舜】