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2022/02/05(土) 12:54:30.48ID:r0wY5zT39毎日新聞 2022/2/5 11:04（最終更新 2/5 11:07） 983文字
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北京冬季五輪の開会式で入場行進する米国の選手団＝北京・国家体育場で2022年2月4日午後8時56分、手塚耕一郎撮影
北京冬季オリンピックは4日夜、北京市の国家体育場（通称「鳥の巣」）で開会式があり、幕を開けた。政治色の強い演出が際立った異質な式典をスタンドで取材した記者が、中国の思惑を探った。
抑制的な演出だった東京オリンピックとは対照的だった。新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大が収まらない中での開催だったが、参加者がマスクをつけている以外は平時と変わらなかった。
ディスコのように激しく点滅するライト、1000人を超える演者が威勢よく披露するキレのあるダンス、爆音で上がり、競技場の内側から見える夜空を埋め尽くした花火−−。間隔を空けながらも、7割近く客席を埋めたようにも見えた招待客は時折ペンライトを振って、熱狂していた。
大会の主役である選手に目を移すと、盛り上がる演出とは異なった現実の光景が広がっていた。笑顔で手を振る選手も目立ったが、何人もの選手は悲しみとも喜びとも言えない複雑な表情を浮かべていた。1月4日に1日の新規感染者数が初めて20万人を超えた英国の選手たちは、笑顔が少なかったと感じた。
コロナ下での開催とは別の理由で、こわばった表情をした選手たちもいた。台湾の選手団だ。台湾側は中国が自国の一部との主張を強める狙いで「中国台北」と呼ぶことを警戒していたが、アナウンスされたのは「中華台北（チャイニーズ・タイペイ）」。大きな歓声が送られ、友好ムードが演出されたものの、強い警戒心は解けなかった。
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入場行進するROCの選手団＝北京・国家体育場で2022年2月4日午後8時48分、猪飼健史撮影
招待客による登場したチームへの対応も温度差があった。この夜、中国を除いて最も大きな歓声を浴びたのは、組織的なドーピング問題に伴う制裁措置で個人資格で参加している「ROC（ロシア・オリンピック委員会）」の選手団。ともに欧米と対立する中国とロシアは、関係を深めている。その後に登場した米国の選手団には五輪の旗こそ振られたが、歓声はなかった。
大会のモットーは「Together for a shared future（未来に向かって一緒に）」だ。高い理想を掲げてメッセージを込めた約2時間15分の開会式で、演出と現実の差を垣間見た。
開会式が終了すると、式の前後も一糸乱れぬダンスパフォーマンスで盛り上げたキャストたちが、思い思いに記念撮影を始めた。その表情は達成感に満ちていた。この純粋な思いは選手に届いていてほしいと思った。【北京・松本晃】
