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毎日新聞 2022/2/5 20:04(最終更新 2/5 20:14) 有料記事 1558文字




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親貝を増やすため天然アサリを育てている網田漁協の漁師たち=熊本県宇土市で2022年2月2日午後3時11分、中村園子撮影

 「熊本県産」として流通するアサリの大半が中国産や韓国産だった可能性が明らかになった問題で、地元漁業者は「産地偽装なんて昔から有名な話だ」と諦めたように話す。県は対策に乗り出すが、偽装アサリの大半が同県を通過せず流通しているとみられ、歯止めをかけるのは容易ではない。

 「産地偽装の話は何十年も前から聞いていた」。有明海に面する熊本県宇土市の干潟で、網田漁協(同市長浜町)の浜口多美雄組合長(71)は声を落とした。

 熊本県のアサリ漁獲量は1970年代、年間6万トンを超え全国のおよそ4割を占めた。しかし、70年代後半からコンクリートの材料として川底の砂が採取され、海辺の浜や干潟に堆積(たいせき)する砂が減少。生育環境の悪化で80年代から漁獲量が減少し、2020年は21トンだった。それでも全国の店頭に「熊本県産」が並び、農林水産省の推計では21年10〜12月だけで2485トンが販売されたとみられる。

 かつて年間7000トンの漁獲量があった網田漁協も3年前を最後に出荷していない。現在手がけるアサリ養殖は資源回復のため親貝を増やすもので、出荷目的ではない。…

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