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毎日新聞 2022/2/6 10:00(最終更新 2/6 10:00) 有料記事 2193文字




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俳優の松重豊さん=東京都千代田区の毎日新聞出版で2020年8月18日、中村琢磨撮影

 東京に駐在する外国メディア特派員らの目に、私たちの社会はどう映っているのだろうか。韓国、フランス、英国、バングラデシュ、シンガポールの個性豊かな記者たちがつづるコラム「私が思う日本」。第40回はルモンド紙(フランス)のフィリップ・メスメール東京特派員が「白髪」についてつづる。俳優の松重豊さんを絶賛するメスメール氏。その心は?

 最近、地下鉄である広告を目にした。俳優の松重豊さんのアップの写真が載った広告だ。私は松重さんのファンで、特にお気に入りのテレビドラマ「孤独のグルメ」をいつも見ている。

 広告を見て、松重さんが白髪であることにびっくりした。最初に思ったのは、白髪がとても似合っているということだ。そして、老化の印でもある白髪を公の場でさらした松重さんの選択は、日本にとって、画期的な何かを表しているように思えた。私がインターネットで検索して読んだ情報によると、松重さんは、わざとそうしたらしい。松重さんは孤独のグルメのようなドラマに出る時は、髪を黒く染めている。

 私は、モデルでタレントの結城アンナさんが以前、同じように議論を呼んだことを思い出した。結城さんは2018年、髪をグレーというより、自然な感じの白にしたことで話題になった。結城さんは、白髪の女性がありのままの自分を認めてもらうための選択だと語った。結城さんには、白髪にしたことで老けてみえるという意見をはねのけるだけの力があった。

 男性も女性も白髪を隠すために黒く染めることが多いこの国で…

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