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毎日新聞 2022/2/7 22:46(最終更新 2/7 23:44) 799文字




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混合団体、1回目を飛ぶ高梨沙羅=張家口・国家ジャンプセンターで2022年2月7日、宮間俊樹撮影

 ノルディックスキー・ジャンプは選手のスーツに規定が設けられており、違反すると失格になる。股下や両脇部分を水かきのようにして表面積を極力広げて浮力を得ようとする動きなどに対処するためで、公平性に加えて選手の技術向上に伴う「飛び過ぎ」を防いで安全性を保つ目的もある。

 スタート付近で全員がスーツの検査を受け、両足を40センチ開いた状態で立ち、股下や腰回りのゆとりなどをチェックする。この時点で失格となるケースもある。飛び終えた後の検査は全員が受けるわけではない。



 昨年11月のワールドカップで規定違反により失格した小林陵侑は、ツイッターで「ベルトが体の規格より1センチ大きかったので失格でした。ロシアに来て食も細くなってたせいかな」と記した。同じスーツでも前日まで検査をパスしていながら突然、違反と言われるケースもある。

 スーツの規定をめぐっては、何度もルール改正を繰り返してきた。日本が団体で金メダルを獲得した1998年長野オリンピック当時は、生地の厚さが8ミリまでと定められた程度で、生地の素材もパーツの形も自由だった。しかし長野五輪後は生地の厚さ、ゆとり幅などが制限された。



 しかし股下を長く水かきのようにして表面積を増やす「短足スーツ」などルールをかいくぐるような動きもあり、厳格化を繰り返してきた。

 2012年夏には公平性を徹底してゆとり幅を「0センチ」にした密着型が導入された。だが、空中からの落下速度が増して転倒時の危険性が高まり、すぐに撤回。14年ソチ五輪後は飛ぶ直前に地面から股下までの長さを計測するルールを導入し、その後も毎年のようにルール改正を繰り返している。



 生地のパーツの形、スーツの色による通気量なども競技成績に影響する。各チームは規定のギリギリを攻め、測定時の選手の姿勢によっても数値は変わるため、作り手だけでなく選手側にも細心の注意が求められる。【江連能弘、小林悠太】