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毎日新聞 2022/2/8 20:13(最終更新 2/8 20:13) 593文字




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アサリの産地偽装問題を受け、金子原二郎農相(左)に要望書を手渡した熊本県の蒲島郁夫知事=東京都千代田区の農林水産省で2022年2月8日午後1時14分、浅川大樹撮影

 「熊本県産」として流通するアサリの大半が中国産や韓国産だった可能性が明らかになった問題を受け、熊本県の蒲島郁夫知事は8日、農林水産省などに偽装根絶の取り組みを要望した。県が「偽装の抜け道になった」とする産地表示のルール見直しやトレーサビリティー(生産流通履歴)制度の構築が柱で、蒲島知事は「県の取り組みだけでは及ばない。国の役割は大きい」と求めた。

 生鮮食品の産地表示を巡っては、原産地が海外でも国内での生育期間の方が長ければ国産と表示できる食品表示法上の「長いところルール」がある。県はこのルールが悪用されたとみており、要望書で「アサリは他の魚類のように大きさで生育年数を判別するのが困難。ルールからの適用除外を」と求めた。



 また、産地証明などの書類の保管が業者の努力義務にとどまり、期限が消費期限までと短いことも偽装を許す一因とみる。そこで「原産地表示を一貫して把握できるトレーサビリティー制度の構築」を要望し、トレーサビリティーに取り組む事業者の支援も求めた。

 県内の漁業者はこの日から2カ月程度、アサリの出荷を停止。県はこの間、県産と確実に証明できる仕組み作りを急ぐ。蒲島知事は金子原二郎農相らと面会し「熊本県の農林水産物全体の信頼を大きく揺るがす。全国の消費者に対する背信行為だ」と訴えた。金子農相は「関係機関と連携をとり、厳正に対処したい」と応じた。【浅川大樹、吉川雄策】