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毎日新聞 2022/2/11 07:01(最終更新 2/11 07:05) 有料記事 1620文字




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1980年の光州事件などで多数の罪に問われ、法廷に立つ韓国の盧泰愚元大統領(左)と全斗煥元大統領=1996年8月26日(朝鮮日報提供)

 保守と進歩の政治勢力が激しく対立し、政権交代が起きると、旧政権の関係者を「断罪」することが繰り返されてきた韓国。存命の大統領経験者で実刑判決を受けていないのは、文在寅(ムン・ジェイン)大統領(69)だけだ。「報復の連鎖」から抜け出す処方箋はあるのか。そして、15日に公式の選挙期間に入り、3月9日に投開票される大統領選のポイントは。龍仁(ヨンイン)大の崔彰烈(チェ・チャンヨル)教授(政治学)に話を聞いた。

龍仁大・崔彰烈教授
 ――1期5年の大統領制をどう評価するか。

 ◆今の制度は、1987年の民主化宣言を受けた憲法改正で、直接選挙制に移行したことで始まった。長期政権と軍事政権の二つを防ぐために定着した制度だった。しかし、結果として、大統領への権力集中がどんどん進むことになった。

 また、再選がないため、政権末期にレームダック(死に体)化することも宿命づけられている。実際、就任3年も過ぎれば「次のリーダー」を選ぶための競争が始まる。

 民主化宣言を経て「手続き的な意味での民主主義」は定着したと言えるだろうが「実質的な民主主義」はまだ実現していないと言えるのではないか。

 ――歴代大統領が、退任後に司直の手にかかり、収監される風景は異常だ。



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