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毎日新聞 2022/2/12 20:15(最終更新 2/12 20:19) 914文字




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火災のあった製菓会社の工場=新潟県村上市で2022年2月12日午前7時42分、本社機「希望」から小川昌宏撮影

 11日午後11時45分ごろ、新潟県村上市長政の米菓製造大手「三幸製菓」荒川工場から出火したと、警備会社から119番があった。火災があったのは敷地の南側にある1棟で、消防や県警が現場に駆けつけると、アルバイト従業員の女性4人が心肺停止状態で倒れており、病院に運ばれたが、死亡が確認された。他に身元不明の1人の遺体も見つかった。県警によると、製造担当従業員の20代男性2人の安否が不明で、遺体はこのうちの1人の可能性がある。火災は約11時間半後の12日午前11時10分に鎮火し、建物は全焼した。

 県警によると、火災があった建物には煎餅製造ラインなどがあり、中央部分に激しく燃えた跡があった。県警は安否不明者を捜したものの、工場内は煙が充満していたうえ、倒壊のような2次災害の危険性もあるため、捜索は一時中断された。13日朝から捜索を再開し、実況見分して出火原因を調べる。



 県警村上署によると、死亡が確認されたのは、村上市の渡辺芳子さん(71)、いずれも新潟県胎内市の伊藤美代子さん(68)、近ハチヱさん(73)、斎藤慶子さん(70)。4人は清掃担当のアルバイト従業員で、建物東側の出入り口付近に倒れていたという。4人とかつて同僚だったという女性(75)は火災を知って工場を訪れ、「ショックだ」と悲痛な表情を浮かべた。

 荒川工場は敷地面積が約7万7800平方メートルで複数の建物がある。煎餅を焼く工程をはじめ、生地をこねたり乾燥させたりする製造ラインが24時間稼働し、出火当時は三十数人が作業をしていた。



 ホームページによると、三幸製菓の本社は新潟市にあり、荒川工場のほか、新潟市、同県新発田市内にも工場がある。「ぱりんこ」や砂糖蜜をかけた「雪の宿」といった商品を扱っている。荒川工場では2019年11月にも機械が焼けるなどの火災があった。三幸製菓は「従業員や被災されたご家族にお悔やみ申し上げます。原因は調査中。今後絶対にこのような事態が起きないよう再発防止と安全管理の徹底に努める」とコメントした。

 現場はJR羽越線の平木田駅から北東におよそ1キロの線路沿い。周辺は工場や田畑が広がっている。【内田帆ノ佳、露木陽介、池田真由香】