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毎日新聞 2022/2/13 07:07(最終更新 2/13 08:00) 823文字




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バイデン米大統領(左)とプーチン露大統領=高本耕太、大前仁撮影

 バイデン米大統領とプーチン露大統領は12日、緊迫するウクライナ情勢について約1時間、電話で協議した。バイデン氏はロシアがウクライナ侵攻に踏み切れば「(戦火で)多くの人々が苦しみ、ロシアは国際的地位を損なう」と主張。これに対し、プーチン氏は「ロシア軍の脅威が誇張されている」と反論した。米露首脳による協議を経ても、緊張緩和に向けた道筋は見えていない。

 ホワイトハウスによると、バイデン氏はロシアが侵攻を選択すれば「米国は同盟国とともに断固とした対応をとり、(ロシアに)重い代償を払わせる」と改めて警告した。



 一方、ロシアのウシャコフ大統領補佐官によると、プーチン氏は、米側はロシア軍の脅威を過度に強調し「ウクライナ軍が(ロシアに対し)挑発的な活動を起こす状況を作り出している」と批判した。プーチン氏は北大西洋条約機構(NATO)の拡大が「まさにロシアの安全保障にかかわる」問題だと指摘。NATO不拡大の確約を拒否した米欧の回答への返答を「近日中に届ける」と伝えた。

 米政府高官は会談後の電話記者会見で「(事態打開に向けた)根本的な変化はなかった。プーチン氏が侵攻の決断をしたかどうか完全に把握できていない」と説明。両首脳は今後も双方の外交チームが接触を続けることでは一致したという。



 これに先立ち、米露は外相・国防相同士もそれぞれ電話で協議。米国務省によると、ブリンケン国務長官はロシアのラブロフ外相に「ロシアが数日中の侵攻を検討している」との見方を示し、懸念を伝えた。米国務省は12日、在ウクライナ米大使館の大半の職員に国外退避を命令。国防総省もウクライナ軍の訓練にあたっていた米兵160人に国外に移動するよう命じた。

 ロシア軍は、ウクライナ国境周辺の北、東、南の三方に大規模に展開しており、10日にはロシアとベラルーシの合同軍事演習も始まった。米側はロシアによる大規模侵攻の準備はすでに整ったとみている。【ワシントン鈴木一生、モスクワ前谷宏】