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2022/02/13(日) 10:48:10.27ID:KqFEbdqq92022年02月13日09時00分
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2021年の衆院選の開票が進む中、報道各社のインタビューに備えて手でOKサインを示す公明党の山口那津男代表=10月31日、東京都新宿区【時事通信社】
岸田文雄首相が長期政権に道筋を付けるのか、1年足らずで退陣に追い込まれるのか。政権の浮沈が懸かる夏の参院選を前に、自民、公明両党の選挙協力に暗雲が垂れ込めてきた。過去2回の参院選で定着したとみられていた相互推薦について、自民党の取り組みが鈍いとして、公明党が取りやめる方針を打ち出したのだ。(文 時事通信政治部長・松山 隆)
◆公明代表が不満表明
「自公で昨年、相互推薦を行おうと話して、年末までかなりの時間があったにもかかわらず、そういう状況に至らなかった」。公明党の山口那津男代表は2月1日の記者会見で、自民党の対応に強い不満を示した。
公明党が想定する相互推薦とは、全国に32ある改選数1の1人区で自民党を推薦、一方、重点区と位置付ける埼玉、神奈川、愛知、兵庫、福岡の5選挙区で自民党の支援を得る、というものだ。
2019年の前回参院選では公明党が重点区も含め選挙区で全勝、自民党は一本化した野党との1人区対決を22勝10敗で乗り切った。
公明党が求めるのはそれだけではない。1人区で推薦した自民党候補が、公明党の比例票上積みに取り組むことが実質的な支援の条件だ。
公明党の支持母体、創価学会は高齢化や世代交代が進み、弱体化が指摘される。17年の衆院選では比例票が700万票を割り込み、19年参院選でも退潮に歯止めがかからなかった。
昨年10月の衆院選では久々に700万の大台に乗せ、次期参院選は800万票を目標に掲げる。自民党との協力態勢構築を急ぐのは、公明党なりの理由がある。
◆自民の苦い経験
だが、自民党は各都道府県連がそれぞれ地域の事情を抱え、党本部の方針を浸透させるのは容易ではない。3月の党大会を念頭に、丁寧に党内調整を進める腹積もりだった。
現在の自公対立の発端になったとされる参院兵庫選挙区で前回、自民党の全面支援を受けた公明党新人が得票2位で当選する一方、自民党はぎりぎり3議席目に滑り込んだ苦い経験があるためだ。
自民党本部の関係者は、前回の再現を恐れて公明党への支援を渋る兵庫県連に理解を示し、「時間をかけて県連を説得すると言っているのに、公明党は『対応が遅いから相互推薦しない』と難癖を付けてきた」と反発。
もう1人区で支援しないと個別に「脅し」をかけ、有無を言わさず協力させる戦術に転換した、とみる。
この関係者は「創価学会の運動量低下は著しい。危機感の裏返しで要求が過大になっているのだろう」と推測する。
◆支援の重みと首相の認識
「選挙区は自民党、比例は公明党」。両党の選挙協力を象徴する言葉だ。自民党は選挙区で推薦を受ける見返りに、「門外不出」の後援会名簿を差し出し、街頭では「比例は公明党とお書きください」と呼び掛けることを求められてきた。
公明党との選挙協力が本格化した2000年代初頭、自民党に「支持基盤を食い荒らされる」と警戒感が広がったのも今は昔。こうした選挙運動は見慣れた光景となった。
懸念された通り、公明党・創価学会の支援がなければ当選はおぼつかないとされる自民党議員は少なくない。
だが、「岸田首相は選挙に強いので、公明党の支援の重みを皮膚感覚では理解していないのではないか」との見方が自民党内にある。
安倍・菅政権と比べて細いと言われる公明党とのパイプを、自民党総裁たる首相が補強できるかどうかが、参院選の行方を占う上でポイントの一つとなる。
(時事通信社「コメントライナー」より)
【筆者紹介】
松山 隆(まつやま・たかし) 1991年東京外大ロシア語学科卒、時事通信社入社。政治部、福島支局、政治部、モスクワ支局、政治部、金沢支局長を経て2020年10月から現職。政治部では首相官邸、自民党、民主党、外務省などを担当。民主党の鳩山・菅両政権で官邸キャップを務めた。