https://mainichi.jp/articles/20220212/k00/00m/040/220000c

毎日新聞 2022/2/13 08:30(最終更新 2/13 08:30) 有料記事 1948文字




https://cdn.mainichi.jp/vol1/2022/02/12/20220212k0000m040223000p/9.jpg
「一件として同じ通報はありません」。福岡県警通信指令課の堂本将生警部補にとって勤務の日は緊張の連続だ=福岡市博多区の県警本部で2021年11月30日午後2時8分、飯田憲撮影

 「事件ですか、事故ですか」。110番を受理して呼びかけても、応答がない。いたずらかと思う一方で耳を研ぎ澄ますと、水が流れる音が聞こえた。水難事故かも――。110番を24時間受け付け、現場へ警察官を向かわせる警察本部の「通信指令室」。あらゆる情報を駆使して現場の状況を把握する指令室ではどんなやりとりが繰り広げられているのか。「初動の要」の最前線に密着した。【飯田憲】

 昨年11月下旬。記者は許可を得て、福岡県警察本部(福岡市博多区)の通信指令室に入った。日ごろは見学者にも公開しているが、見学できるのは室内を上から見渡せる見学者用の通路からのみだ。室内に入って実際の通報のやり取りが飛び交う場の取材が許可されたのは異例だ。

 室内前方の映画館のスクリーンのような映像パネルには福岡県の地図が表示され、矢印がついた複数のマークがせわしなく動いていた。県内の主要道路や山口、佐賀など県境にも設置された定点カメラの映像も映し出される。「走行中のパトカーの位置と進行方向がこれで分かります」。通信指令指導係長の西村紀翔警部補(35)が教えてくれた。県内に35人しかいない指導員の一人だ。

 通信指令室では、110番の「受理」と、その情報に基づき現場の警察官に指示を出す「指令」の二つの業務がある。3交代の24時間体制だ。…

この記事は有料記事です。
残り1393文字(全文1948文字)