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2022/02/14(月) 14:54:12.06ID:TpewwEnR9毎日新聞 2022/2/14 13:37（最終更新 2/14 13:37） 1015文字
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有明海で取られた体長約12センチのシバエビ＝2022年2月12日午後6時36分、中村園子撮影
中国などから輸入されたアサリが「熊本県産」と偽装されて流通していた問題で、架空の産地として名前が使われた地元・熊本県では他の水産物も価格が下落する風評被害が出ている。国産のほとんどが有明海で取れる「シバエビ」もその一つだ。漁が盛んな熊本県の天草地方では、漁業者たちがアサリ産地偽装の余波に苦しんでいる。
「うちにも影響が出るかなと思ってはいたが……。ここまで価格が下がったことはなかった」。11日午前、熊本県上天草市の漁港では、漁師たちが投げ網で取った天然のシバエビを船から降ろし、氷で締める作業をしていた。天草漁協の江口美好販売課長（42）は作業に追われながらため息をついた。
シバエビはクルマエビ科で体長十数センチ。素揚げや天ぷらで食べる他、せんべいなどに使われる。天草漁協によると、かつては1キロ1300〜1500円で取引されたが、新型コロナウイルスの影響による土産品需要の低下などで約3年前から700円程度に下落。さらに、偽装アサリをあぶり出すために熊本県の蒲島郁夫知事が県産アサリの出荷停止を要請した2月初旬には一時、シバエビの価格は1キロ300円程度まで下がった。江口課長は「偽装アサリ問題で、消費者が熊本県産の他の水産物まで『外国産では』と疑い、買い控えたからでは」と推測する。
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有明海で取られたシバエビ＝熊本県上天草市で2022年2月11日午前11時25分、中村園子撮影
熊本県は、産地偽装されたアサリの多くが下関などから輸入された貝が熊本県をまったく経由することなく流通していたとみている。熊本県沿岸で漁業者が取った魚介類は品質に問題がないにもかかわらず、県産ハマグリが「熊本県産では売れない」として入札が中止され、産地に返送されるなどの問題が起きている。
天草漁協では、5月から東京の市場で高値で取引されるブランドの「黄金のハモ」の出荷も始まり、影響が長引くことを懸念する。
一方、漁協関係者は「これまでも数年おきにアサリの産地偽装事件が起きてきた。そのたびに偽装をした業者は社名をコロコロと変え、捜査が不正の大元まで届かないようにしている。『トカゲのしっぽ切り』の状態だ」と嘆く。
記者は、中国産アサリ611トンを「熊本県産」と表示して販売したなどとして、農林水産省から2021年12月に是正指示を受けた熊本県天草市の水産業者の本店とされるアパートに足を運んだ。表札はなく、呼び鈴を鳴らしても応答はなかった。地域の住民は「人の出入りはあるが、水産業者かどうかもまったく知らない」と語った。【中村園子】
