0001ひよこ ★ [US]
2022/02/15(火) 10:51:38.57ID:w62hXpTi92022/2/15 09:00
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中国の民主化運動に身を投じる楊建利氏＝２００９年５月１８日、米ワシントン
北京の冬季五輪が佳境を迎えている。宇宙服を着たパンダのキャラクターと戯れ、地元中国メディアの取材に喜々として応じる。その映像が流れるたびにテレビのチャンネルを変える。人権侵害がなかったかのように振る舞う中国の掌（たなごころ）で、一部日本メディアが踊らされているように見えるからだ。
そんな折、福岡市内の出版社から一冊の本が送られてきた。翻訳した知人の手配である。
「中国を変えよう〜アメリカ議会を動かした証言」（集広舎）である。著者は、米国在住の中国人権活動家、楊建利博士だ。２０００年から２０年間、米議会を中心に語ってきた証言録である。訳者は英語と中国語に堪能な井上一葉氏である。２０１０年、首都ワシントン駐在時代に知己を得た。
米議会は、ホワイトハウスや国防総省、国務省などと違って、身分証明書を示し、金属探知機をくぐれば、上下両院の公聴会を予約なしで取材することができた。井上氏とはそこで知り合った。井上氏もほぼ同じ時期、楊氏と議会公聴会で初めて出会ったという。
楊氏は中国の中学を卒業後、飛び級で大学に進み、米大学で博士号を取得した。中国帰国後、人生の１割近くを政治犯として監獄で過ごす人権侵害を受けた。
楊氏は著書で、中国の現状について「１９８９年の天安門事件以降、共産党の伝統的イデオロギーは破綻した。民族主義と国益が共産主義の理想にとって代わり、中国社会を統合する唯一の手段となった」と指摘する。その上で「共産党は自らが正当な支配政党として生き延びるため、反日運動を利用し、腐敗や法の支配、人権などの問題に対する民衆の視線をそらしてきた」とも語る。
米国の対中政策については、１９７０年代初め、キッシンジャー国務長官が関与政策を打ち出してから根本的に間違えたとする。中国を国際社会に組み入れれば、国際規範を順守し、民主化すると主張した見通しの甘さだ。楊氏はこれを、共産党政権の邪悪な本質と覇権主義的野心を見落とすものだったと手厳しく批判している。
日本に対しては「アジア最強の民主主義国であり、もっと自信を持ち、中国を民主化することに道徳的な責任感を持ってほしい」と語りかける。
冒頭のパンダの中身は野太い声を出すおじさんだった。外見でなく、本質を見る目を養いたい。
