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毎日新聞 2022/2/18 16:00(最終更新 2/18 16:00) 有料記事 3278文字




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マンダムの男性化粧品を研修で使用し、同期にメークしてもらった顔を確認する若手社員=大阪市中央区で2021年10月27日、梅田麻衣子撮影

 「うーん、マンダム」から半世紀――。国内の化粧品市場でちょっとした異変が起きている。調査会社によると、新型コロナウイルス禍で女性の化粧品市場が縮小したのに対し、男性は拡大。業界関係者が男性に熱い視線を送っているという。マスク生活を考えれば女性の化粧が減ったのは分かるが、男性はなぜ逆に?その謎を解き明かそうと、記者は1970年代にテレビCMで話題になった化粧品メーカーを取材した。そこで分かったものとは……。【井口彩】

 2021年10月、大阪市中央区のマンダム本社で、入社2年目の社員25人が参加する研修を取材した。五つのチームに分かれ、男性社員に自社製品を使って化粧を施し出来栄えを競う内容。女性社員にアイシャドーを入れてもらった男性が「どうかな?」と緊張した様子で尋ねると、メンバーから「かっこいい!」と歓声が上がった。優勝したのは「大人っぽくなりたい」と話していた荒川桂太さん(19)。アイラインや口紅でキリッとした印象に変身し、「自分に自信がついた気がします」と笑顔を見せた。

女性の市場はコロナ前より縮小
 マーケティング会社のインテージ(東京都)によると、20年に女性が購入した化粧品の市場規模は7493億円で前年から13%縮小した。外出の機会が減ったことや、19年10月の消費税増税による駆け込み需要の反動が影響したとみられる。特に減ったのがファンデーションや口紅などの「メークアップ」で27%減の1943億円。化粧水や乳液などの「基礎化粧品」は、マスクによる肌荒れケアの需要が生まれたこともあり、5382億円で6%減にとどまった。21年の市場規模は7603億円に増えたが、8000億円台だった19年以前と比べると低い水準だ。

 そういえば記者(27歳、女性)もコロナ前後で化粧の仕方が変わった。かつてはファンデーションや口紅を毎日塗っていたが、今は「どうせ見えないし」と、マスクで隠れる部分は下地程度で済ます。その代わり、少し値の張る化粧水を買うようになった。

 一方、男性が購入した化粧品は逆の結果になった。20年の市場規模は、19年を4%上回り373億円。21年は406億円で、12年に現在の調査を始めて以来初めて400億円を突破した。21年の基礎化粧品は291億円、メークアップも16億円で19年に比べてそれぞれ2割以上増えた。

在宅勤務で男性に変化
 それにしてもなぜ、男性化粧品市場が拡大したのだろうか。

 20年3月時点で在宅勤務をした男性をインテージが追跡調査したところ、…

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