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2022/02/19(土) 07:56:05.97ID:sCuUrbb/92022/2/19 05:00
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アサリの産地偽装問題発覚を受け、記者会見する熊本県の蒲島郁夫知事＝１日午後、県庁
産地の偽装は、消費者の信頼を裏切る行為である。実態の解明はもちろん、責任の所在を明確にするなど再発防止策を講じなければならない。
国内で流通する熊本県産のアサリに、外国産が大量に混入して販売されていたことが農林水産省の調査で分かった。
食品表示法などに違反する疑いが強いとして、農水省は実態解明を急いでいる。熊本県も県漁連の協力でアサリの出荷を２カ月間停止とした。産地を熊本産と偽装したアサリをあぶり出し、根絶を目指すためだ。岸田文雄首相は１８日、「厳正な対応をしっかり進める」と述べた。
産地偽装の発覚は、農水省が昨年１０〜１２月、全国の主要スーパー約１千店舗を対象に行ったアサリの産地調査がきっかけだ。熊本産として売られたアサリの推計販売量は２４８５トンで、令和２年の熊本産の年間漁獲量２１トンを大幅に上回っていたことが判明した。
産地偽装の背景には、消費者の根強い「国産信仰」がある。漁獲量が減る中、輸入アサリをブランドの熊本産と偽れば、従来通りの売り上げが期待できるという偽装する側の思惑が見える。そこに順法意識はまったくない。
食品表示法は生産国を原産地として表示するよう定めている。ただ、複数の国にまたがる場合、生育期間が長い方を原産地と表示できる。これが産地偽装の温床となっている。
輸入アサリを熊本の干潟で育てる際、生育期間が海外より長くなるよう書類を偽造したり、書類だけ熊本産と偽装して市場で流通させていた疑いが強い。熊本産アサリを公的に認証する制度の確立も検討課題であろう。
流通過程も問題だ。政府は業者に原産地の根拠を示す書類の保存を求めているが、努力義務にとどまっている。取引書類が保存されていないケースが少なくない。伝票や書類の保存義務化のほか、食品の追跡を可能とする厳しい管理体制の構築が不可欠だ。
静岡県警は１５日、輸入ワカメを鳴門産と偽り販売したとして、不正競争防止法違反などの疑いで静岡市内の会社を摘発した。
アサリだけでなく、産地偽装は広く日常的に行われているとみるべきだ。食品表示は、食の安全を守る第一歩である。信頼回復に向け、徹底調査と再発防止策の策定が急がれる。
