2022/2/19 22:00


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センサーや暗号の飛躍的な機能向上が期待される量子技術について、防衛省も軍事利用へ向けた戦略検討に乗り出している。政府全体でも量子技術活用に向けた戦略を策定し、今年度補正予算案に関連経費を計上している。だが、防衛省関連の経費はゼロ。民間技術の軍事転用に二の足を踏む防衛省独特の「配慮」も背景にあるようだ。

「AUKUS(オーカス)が『量子』を掲げた。わが国もひとごとではない。量子で何ができるのか検討しないといけない」。米英豪の新たな軍事協力の枠組み「AUKUS」が昨年12月の初会合で人工知能(AI)やサイバー戦能力とともに量子技術での協力を宣言したことについて、防衛省幹部はこうつぶやいた。

量子技術は一部で実用化にこぎつけつつある。NECなどは1月、株取引に量子暗号通信を利用する実証実験を成功させた。政府の有識者会議は同月、「量子技術イノベーション戦略」の改定を決定し、政府は今年度に補正予算を含め量子関連で約800億円を計上した。

米国は2022年予算で量子関連約1000億円を要求。中国は約1兆円規模をかけて研究拠点を整備している。

量子技術が注目されるのは、将来の産業基盤となるだけでなく安全保障上も重要な技術と目されるからだ。米国防総省の諮問機関「国防科学技術委員会(DSB)」が19年12月にまとめた報告書では、軍事への応用が期待される分野として、量子センサー、量子コンピューター、量子通信の3つをあげている。

複雑な情報を大量に処理できるようにするのが量子コンピューターだ。現在一般に使用される「公開鍵暗号」を解読できる処理速度を実現できるが、開発には2030年代までかかるとされる。

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