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2022年02月20日06時35分

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オーストラリア北部ダーウィンの空爆を説明したパネルの前に立つダーウィン連合教会のローレン・メリット牧師=17日、ダーウィン




 【ダーウィン(オーストラリア北部)時事】オーストラリア本土が旧日本軍の攻撃に見舞われた「ダーウィン空爆」から80年が過ぎた。戦後、日豪は敵同士として血を流した歴史と一線を画す姿勢を鮮明化。その過程で草の根の活動が果たした役割も見逃せない。今では日本が豪州を「準同盟国」と位置付け、豪州も日本を「最も信頼できる誠実な友人の一人」(モリソン豪首相)と見なすなど、緊密な関係を築いている。
 80年前に攻撃を受けた米軍司令部の跡地に建つダーウィン連合教会は、パネルや展示物を通じて空爆の悲劇を伝えている。ローレン・メリット牧師(55)は「多くの豪州人は当時(ダーウィンで)何が起きたのか知らされなかった」と説明。別の地域で育った牧師自身も学校で空爆について学ぶ機会はなかったといい、教会が悲惨な歴史を後世に伝える意義を強調した。
 教会が1960年に開設された際、空爆でダーウィン近くに沈没した船を引き揚げた日本の会社が、沈没船の金属で作った多数の十字架を寄贈。十字架は建物にちりばめられ、対日友好の懸け橋となった。メリット牧師は「次世代がこうした話を知ることで、最悪の時期の後でも友情を構築できると期待が持てるようになる」と話す。
 日本は高度成長期、鉄鉱石など豪州産の資源を輸入し、両国の経済関係が深まった。最近では中国の台頭を受け、安全保障分野の関係強化も進んでいる。
 今年1月には自衛隊と豪軍の相互訪問を容易にする「円滑化協定」に署名。日豪は米国やインドと連携枠組み「クアッド」を構成する。ダーウィンで19日に開かれた空爆の追悼式典に参加したダットン豪国防相は「日本はクアッドの重要な連携相手だ」とし、円滑化協定が「インド太平洋に安定をもたらす」と強調した。