テレビ市場の勢力図が変わりつつある。画面の大型化や高精細化の競争は激しく、海外勢が伸びている。国内の大手電機メーカーは生産から撤退するところもあり、押され気味だ。

 テレビ市場は全体的にみると好調だ。昨年の売れ行きは、コロナ禍による「巣ごもり特需」があった前年とほぼ同じ高水準だった。より大きく、よりきめ細かいものが人気となっている。家電量販店の店頭には、80型以上や4Kより高画質な8Kも並ぶ。

 「ビックカメラ池袋本店」(東京都豊島区)では昨年12月、シャープの「ミニLED」の製品が売り出された。シャープが「第3のテレビ」と位置づけるもので、光源のLEDを従来の10分の1ほどに小型化した。明るい白色やコントラストのある黒色が特徴で、液晶と有機ELのそれぞれの強みを兼ね備えるという。値段は高めだが、同店の担当者は「コロナ禍を受けて高くても良いテレビを買う人が増えた」という。

 国内の大手電機メーカーは高性能のものに力を入れるが、韓国や中国などの海外勢も実力をつけている。

 民間調査会社BCNがまとめた2021年の国内テレビ販売台数のシェアは、台湾の鴻海精密工業の傘下のシャープが21・9%で、調査開始の04年以来18年連続で首位を守った。ただ、18年には31・4%あったシェアが年々落ちている。

 中国家電大手の海信集団(ハイセンス)が東芝のテレビ事業を買収して設立した「TVS REGZA(レグザ)」のシェアは19・5%だった。18・0%のソニーを抜いて2位に浮上し、シャープを射程圏内に捉えた。BCNのアナリストの森英二氏は「レグザの製品は比較的安く、小型の商品もそろえている」と強みを分析する。

 日本勢は4Kや8K、有機ELの分野でシェアを維持しようとしているが、価格競争は厳しい。有機ELテレビで世界首位の韓国・LG電子が低価格なものを投入するなど、海外メーカーは勢いがある。

テレビ事業から撤退も
 かつては世界中を席巻した日…(以下有料版で,残り426文字)

朝日新聞 2022年2月23日 8時00分
https://www.asahi.com/articles/ASQ2P636HQ2PULFA00R.html?iref=comtop_7_06