【ワシントン時事】米国や欧州連合(EU)は22日、ロシアによるウクライナ東部の親ロシア派支配地域の独立承認などを受け、対ロシア経済制裁を発表した。ロシア経済は高インフレや通貨安に見舞われて既に脆弱(ぜいじゃく)な状態となっており、制裁の効果次第では、苦境が深まる可能性もある。

 ロシア通貨ルーブル相場はウクライナ情勢の緊迫化を受けて軟化。22日の外国為替市場では一時1ドル=81ルーブル近辺と、年初来約8%のドル高・ルーブル安水準に急落した。

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 一方、ロシアでは新型コロナウイルスの感染拡大に伴う供給制約や食料の値上がりを背景に、物価高が進行。中央銀行は11日、インフレ抑制に向けて1%の大幅利上げに踏み切った。
 ただ、米欧の制裁でルーブル安が一段と進行すれば、輸入物価を中心にインフレの加速は必至。景気の先行き不安に追い打ちをかける追加利上げなどの対応を余儀なくされそうだ。
 半面、ロシアは2014年のクリミア半島併合以降に財政健全化を進めるなど、「制裁慣れ」してきた。主要輸出品目の石油や天然ガスはウクライナ危機などで価格が高騰。国家財政には一定の余裕が生まれているとみられる。
 情勢の深刻化が危惧される中、有力格付け会社フィッチ・レーティングスは、重要な銀行や企業がドル取引を制限されたり、石油・天然ガス企業に幅広い制裁が科されたりすれば、ロシア経済には「下振れの可能性がある」と指摘した。

時事通信 2022年02月23日20時43分
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