生活保護の扶養照会、申請者が拒めば保留を 東京都が区市などに通知 意向に反する現場対応、背景に

 生活保護の申請時に自治体が申請者の親族に援助ができないかどうか確認する「扶養照会」の手続きについて、東京都が都内の区市などに、申請者が照会を拒む場合は照会をいったん保留するよう求める通知を出していたことが分かった。
◆支援団体は評価
 扶養照会を巡っては「家族に知られるのが嫌」などと生活保護の利用をためらう要因になっている。昨年3月、国が自治体に同じ趣旨の事務連絡をしているが、実務を担う自治体の福祉事務所では、申請者の意思に反して照会する事例が出ている。支援団体は「改めてくぎを刺した形で意味がある」と評価している。
 生活保護の申請者を支援する一般社団法人「つくろい東京ファンド」によると、扶養照会を拒む人には、家族との絶縁や、ドメスティックバイオレンス(DV)被害で居場所を知られたくない場合などが多い。法人の小林美穂子さん(53)は「拒んでいるのに照会に持っていこうとするなど現場では徹底されていない」と改善を期待している。(加藤健太)

東京新聞 2022年2月25日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/162142