国連安全保障理事会(15カ国)は25日に、ウクライナに侵攻したロシアを非難し、同国からのロシア軍の即時撤退を要求する決議案を採決することで調整している。常任理事国のロシアが拒否権を行使して否決される見通しだが、米国などは決議案に多くの賛同を得ることで、国際社会でのロシアの孤立ぶりを際立たせる狙いだ。

 決議案は米国が提出した。毎日新聞が入手した決議案は「安保理は、ロシアが国連憲章に違反してウクライナを侵略したことを最も強い言葉で非難する」と明記。「武力行使の即時停止」と「ウクライナ領土から直ちに、完全かつ無条件にすべての軍隊を撤退させること」を義務付けている。

 また、ウクライナ東部の親露派支配地域の独立承認を「ウクライナの領土保全と主権への侵害であり、国連憲章の原則に反する」と非難し、即時撤回を要求。すべての国連加盟国への武力行使や威嚇をやめ、東部紛争の和平条件を定めた「ミンスク合意」を順守するよう求めている。

 安保理の決議には法的拘束力がある。採択には少なくとも米露英仏中の5カ国が拒否権を行使しないことが条件になる。ロシアの拒否権行使は確実だが、米政権高官は「そうすることで、彼らは自ら孤立を強調することになる。我々は何もせずに傍観者でいるつもりはない」と述べた。

 ロイター通信によると、米国などは、15カ国の理事国のうち13カ国の賛成と、中国の棄権を目指すという。中国はロシアの立場に一定の配慮を示しつつも「国家の主権と領土保全は守る」(張軍国連大使)との立場だ。仮に拒否権を行使すれば採択阻止の強い意思を示すことになる。米政権高官は「(中国が拒否権を行使して)欧州での紛争を支持し、主権と領土保全の原則に背くことは中国の利益にはならない」と強調する。中国の動向が注目されている。【ニューヨーク隅俊之】

毎日新聞 2022/2/25 08:54(最終更新 2/25 08:54) 760文字
https://mainichi.jp/articles/20220225/k00/00m/030/037000c