プーチン大統領、ウクライナ軍にクーデター呼びかけ

 ウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は25日、ロシアの安全保障会議の冒頭でウクライナの政権を「薬物中毒者やネオナチ」と非難し、ウクライナ軍に「権力奪取してほしい」とクーデターを呼びかけた。露軍に対してウクライナ軍は激しい抵抗を続けており、前線の膠着(こうちゃく)状況にいら立ちを示した発言の可能性がある。

 プーチン氏は同会議で、ウクライナ軍内の「民族主義者」や「ネオナチ」が米国などの「外国の顧問」からの指導で動いているとし、ウクライナの軍人らに「我々とあなたたちは、(ウクライナの首都)キエフに居座る薬物中毒者やネオナチとよりも容易に合意ができる」と呼びかけた。

 24日からウクライナに侵攻を始めた露軍に対し、ウクライナ軍は建物の多い都市を拠点に市街戦に持ち込み、戦力的に優勢な露軍に対して東北部ハリコフや南部ヘルソンなどで抵抗を継続。露軍の空てい部隊が展開するキエフ周辺でも激しい戦闘が続いており、開戦2日目までに重要都市は陥落していない。

 英BBCによると、ウクライナ当局は25日までに、市民に銃1万8000丁と、石油爆弾の製造説明書を配布し、徹底抗戦の構えを見せている。

 プーチン氏は「ネオナチらはキエフなどの大都市の中心に重火器を配備している。人々の中に隠れ、民間人の犠牲をロシアのせいにしようとする世界のテロリストと同じやり方だ」と強く反発した。

 一方、水面下では和平に向けた交渉の動きも出ている。ウクライナのゼレンスキー大統領は25日、ロシアに交渉を呼びかけ、ウクライナの中立化についても「話すことを恐れていない」と表明。これに対し、ペスコフ露大統領報道官は同日、「プーチン氏は(隣国ベラルーシの首都)ミンスクに交渉のための代表団を送る用意がある」と応じた。

 しかし、ペスコフ氏は中立化の条件としてウクライナの「非武装化と脱ナチズム化」を要求。ラブロフ外相も「ウクライナ軍が抵抗をやめ、武器を置くなら、いつでも交渉の用意はある」とウクライナに事実上の降伏を求めた。ペスコフ氏によると、ウクライナ側からはミンスクではなく、ポーランドの首都ワルシャワで交渉する案が提示されたという。【モスクワ前谷宏、ベルリン念佛明奈】

毎日新聞 2022/2/26 06:57(最終更新 2/26 07:14) 921文字
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