【モスクワ=小柳悠志】ロシアの情報管理当局は26日、国内メディアに対し、プーチン大統領が24日に実施を命じたウクライナでの軍事作戦を「戦争」や「侵攻」と表現することを禁じる通達を出した。違反した場合は最大で500万ルーブル(約690万円)の罰金を科す。
 検事総局から要求を受けた通達で、既に「戦争」や「侵攻」という言葉を用いた独立系メディアや政府系メディアを名指しで非難した。プーチン政権への批判を続け、昨年ノーベル平和賞を受賞したムラトフ氏が編集長を務める「ノーバヤ・ガゼータ紙」も含まれる。
 外国メディアの記事をロシア語に翻訳して引用する際も、原文にある「戦争」や「侵攻」などを使ってはならないもよう。当局は声明で「メディアは信頼できる、現実に即した情報を流布するように」と翼賛報道を求めた。大規模戦闘の実態や、プーチン氏の覇権拡大の意図を隠す狙いとみられる。
◆ロシア共産党からも「戦争反対」の声
 今回の軍事侵攻は、ロシアが「独立国家」と承認したウクライナ東部2州のロシア系住民の保護などが名目。ただ、プーチン氏はウクライナ全域への攻撃を命じており、「体制内野党」とやゆされるロシア共産党からも「東部2州の独立承認には同意したが、戦争は承認していない」と反対の声が上がっている。

東京新聞 2022年2月27日 20時20分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/162655