長崎県教育委員会は28日、県立高の男子生徒が同級生にいじめを受け、2020年11月に自殺していたと明らかにした。県教委が公表した第三者調査委員会の報告書によると、男子生徒は自殺の3日前、担任教諭に「これっていじめですか」と相談したにもかかわらず、いじめの調査は実施されなかった。報告書は「学校の対応は不十分」と結論付けた。

 県教委によると、男子生徒は20年11月11日に自殺した。学校は21年1月、全校生徒を対象に学校生活アンケートを実施したが具体的な情報は得られず、生徒の遺族が再調査を要望。県教委は同4月、第三者調査委を設置し、生徒らへの聞き取りを進めていた。

 報告書によると男子生徒は、夏休み中に女子生徒と遊んだことをきっかけに別の生徒とトラブルになり、以降、複数の同級生から仲間外れにされたり「女と遊んだやついたよね」「やばいよね」などとからかわれたりするようになった。20年10月以降、担任教諭らが男子生徒と複数回面談したが、相談内容をいじめと認識しなかった上、同学年の教諭らの間でしか情報が共有されず、組織的な対応に至らなかった。

 報告書は「(学校は)いじめに対する基本理解が不足しており、被害生徒の心情に寄り添うことなく対応を続けた」と指摘。記者会見した県教委児童生徒支援課の安永光利課長は「重く受け止めている。安全安心な学校生活を送れるよう、各校への指導、支援を徹底する」と述べた。【中山敦貴】

いじめなどの相談窓口
・24時間子供SOSダイヤル=0120・0・7831x(なやみ言おう)、年中無休、24時間

・児童相談所全国共通ダイヤル=18x(いち早く)、年中無休、24時間

・子どもの人権110番=0120・007・11x、平日午前8時半〜午後5時15分

・チャイルドライン=0120・99・777x、毎日午後4〜9時(18歳まで)

毎日新聞 2022/2/28 20:59(最終更新 2/28 20:59) 775文字
https://mainichi.jp/articles/20220228/k00/00m/040/218000c