暴力団幹部に家宅捜索の情報を漏らしたとして、千葉県警は4日、県警本部捜査4課所属の男性警部補(59)と、同課に所属していた元警部の男性(61)=昨年定年退職=を地方公務員法(守秘義務)違反の疑いで千葉地検に書類送検した、と発表した。また、同日付で警部補を戒告の懲戒処分にした。

 監察官室が明らかにした処分理由によると、警部補は昨年2月7日、同県印西市での死体遺棄事件に関連して、東京都内の暴力団事務所を家宅捜索する際、捜索に入る約30分前に捜査車両内から、公用の携帯電話で暴力団事務所に電話をかけ、暴力団幹部に捜索の実施を伝えたという。家宅捜索の責任者だった元警部の了承を得た上で電話したとみられるという。

 昨年3月に外部から情報提供があり発覚した。警部補は、暴力団員とのトラブルを防ぐには暴力団幹部も立ち会わせた方がよいと考えた、と説明。「極めて軽率な行為で反省している」と話しているという。

 監察官室は「捜査への影響はなく、暴力団員からの見返りや癒着もなかった」としている。県警は、監督責任を問い、死体遺棄事件の捜査を担っていた捜査1課の課長補佐を本部長注意、同課理事官(当時)を所属長注意、同課長(同)を口頭厳重注意とした。

 川口光浩・首席監察官は「捜査への信用を失墜させる行為で、あってはならないこと。捜査情報の保秘を徹底し、再発防止に努めます」と述べた。(伊藤繭莉)

朝日新聞 2022/3/4 18:55
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