兵庫県明石市内にある川崎重工明石工場への法人税額を泉房穂市長がツイッターに投稿し、その後、削除したことが4日、市議会で取り上げられた。自民党の千住啓介議員は「権力を行使して把握した情報を人質にしている」と批判。泉市長は「(事業者の)規模、影響力からみて公益性が高いと思ったが、納税情報は慎重に扱うべきだった。今後は気をつけたい」と釈明した。

 泉市長は2月12日、ツイッターに同工場の法人市民税と事業所税に関する8年分の情報を投稿した。法人の収益に応じて計算される法人税割が5年連続で「0」になっていることを強調。同社役員と面談した際に理由を尋ねたことに触れ、「『赤字決算なので』との回答だったが、ゼロってなんだかなぁ」とつぶやいた。千住議員によると同27日ごろまで閲覧できる状態だった。泉市長は「指摘もあって削除した」と述べた。

 地方税法は徴税事務の従事者について、事務で知った秘密の漏えいや無断利用について、2年以下の懲役か100万円以下の罰金と定めている。納税額は秘密にあたり、市長は規制対象とされる。

 千住議員は、知人の企業家から「明石市は市長の考えに合わない企業の納税額を公表するのか」と批判を受けたと説明。泉市長のツイートについて「あってはならないことで、税務職員が同じことをしたら事件だ。どう処分するのか」と問いただした。泉市長は「たら、ればの質問には答えようがない」と述べるにとどめた。

 川崎重工の広報担当者は毎日新聞の取材に「法令に関して判断する立場になく、コメントすることはない」とした。【大川泰弘】

毎日新聞 2022/3/4 18:05
https://mainichi.jp/articles/20220304/k00/00m/040/299000c