2024/02/14
妥協の「美徳」、ロシアに通じず クリシュヤーニス・カリンシュ氏
ラトビア外相
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD120RO0S4A210C2000000/
ロシアの侵略が始まって以来、ウクライナは奪われた領土の半分を取り返した。とはいえ、戦況がとても困難な段階にあることは事実だ。ロシアはほぼ戦時の経済体制を敷き、休まずに弾薬や武器を製造している。一方、西側諸国の防衛産業は平時体制からの移行に取り組んでいるが、調整にはなお時間がかかる。 ..

長年、ロシアを近くで注視するなかで、バルト諸国は不幸にも極めて悪い経験を味わわされてきた。ロシアとの緊張は、2000年ごろからすでに始まった。根底にあるのが、19世紀後半に生まれたロシアのファシスト哲学者、イワン・イリイン氏の存在た。

プーチン・ロシア大統領の国家観は、イリイン氏の哲学が土台になっている。その内容とは、国家を偉大にするために、ロシアには隣国を征服する権利があるというものだ。ロシアでは近年、彼の著作が復活し、再版されている。彼の哲学はクレムリンにとどまらず、ロシアの戦略エリートたちの考え方に浸透している。

予見できる将来において、こうしたロシアの内部体質を変えるほどに劇的な変化が、同国で起こるとは考えづらい。ロシアは沸騰したやかんのようなものだ。内部に外から影響を及ばすことはできない。ならば、周囲の防御を確実にするため、私たちはロシアを封じ込めていく必要がある。