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2022/05/03
ロシアは断固たる対抗力で封じ込めるしかない――アメリカ人外交官が書いた長文電報の衝撃的な内容
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/05030608/?all=1
 なぜソ連は、西側諸国との協調を継続することを求めないのか。何が問題なのか。ケナンは次のように解答する。
「国際問題に関するクレムリンの神経過敏症的な見解の底には、ロシアの伝統的、本能的な不安感がある。元来これは、獰猛な遊牧民と隣合わせに、広大なむき出しの平原に住もうとした、平和な農耕民族の不安であった。ロシアが経済的に進んだ西方と接触するようになったとき、その地域のより有能で、より強力で、より高度に組織された社会に対する恐怖がその上に加わった」
 このようにケナンは、ロシア人が感じる不安を、文明論的な劣等感に由来するものであると説明した。さらにケナンは次のように続ける。
「こうした理由で、彼らはつねに外国の浸透を恐れ、西方世界と自国との間の接触を恐れ、もしロシア人たちが外の世界について真実を知るか、あるいは外国人が内部の世界について真実を知ったときに、何が起こるかを恐れてきたのである。そして、彼らは、対抗勢力との盟約や妥協の中にではなく、その完全な破壊のための、忍耐強いけれども必死の闘争の中にのみ、安全を求めることを学んできたのである」

 さらに、具体的な政策提言として、ケナンはこの論文において次のように論じる。「この事実とともに考慮されるべきことは、ロシアが西側世界全体と対比すれば、まだ遙かに弱い相手であること、ソヴェトの政策がきわめて柔軟性をもっていること、ソヴェトの社会がやがて自分の潜在力全体を弱めてしまうような欠陥をその内に含んでいるように見えることである。これらのことは、それだけ、もしロシアが平和な安定した世界の利益を浸食する兆候を示すならばどこであろうと、アメリカが、断乎たる対抗力をもってロシアに対処するために計画された確固とした封じ込め政策を、十分な自信をもって始めることの妥当性を示すものである」