9日(日本時間10日)のアスレチックス戦に先発して今季10勝目を挙げ、「シーズンでの2桁勝利、2桁本塁打」を104年ぶりに達成したエンゼルスの大谷翔平選手(28)。ベーブ・ルース以来となる偉業達成の陰には、使用している道具へのこだわりがあった。

グラブは外野手用モデルを改良
大谷とアドバイザリー契約を結んでいるスポーツ用品メーカー大手のアシックスによると、今季の大谷は、外野手用として昨季まで使用していたモデルを改良したグラブを採用。同社担当者は「通常の皮革に比べて『耐久性の強さ』と『へたりにくさ』が大きな特徴」とした上で「かっちりしたグラブを好む大谷選手のリクエストを追求した」(同)と説明する。

また、「ウェブ」と呼ばれるグラブの網目部分は、ボールの握りが打者から見えにくくするため、縦棒部分を通常の2本から4本に変更して、背面部を覆った。さらに、グラブをはめる左手の小指、薬指が同じ部分に入れられる形状に今季から変更したことで、グラブの開閉がしやすくなるなど操作性がさらに向上した。

大谷自らデザインした二刀流のロゴも、昨季から継続して今季も捕球面に刻んでいるという。

バットはアオダモから「バーチ」へ
使用しているバットにも、大谷のこだわりが凝縮されている。

アシックスによると、大谷から「(ボールを)バットに乗せる感覚から、弾き返すようなイメージに変えたい」と要望があったことをふまえ、材質が比較的柔らかく〝しなり〟が特徴のアオダモ(モクセイ科トネリコ属)から、材質が硬くて反発力のある「バーチ」(カバノキ科カバノキ属)に昨シーズンから素材を変更。昨季は46本塁打をマークしてア・リーグの最優秀選手(MVP)を獲得するなど打撃面での好成績につながった。

同社によると、素材変更について大谷は「(大リーグ公式球との)相性が良く、打感(打った際の感触)の良さをより感じられる」と好印象を抱いているといい、今季も昨季と同様にバーチを使用している。

今季はさらに、バットの先端部の「繰り抜き」とよばれる溝の部分を、従来の形状よりも深くしたことで操作性が向上したといい、担当者は「(大谷は)バットの振り抜きやすさを追求している」と指摘する。

投打の二刀流と同様、道具でも唯一無二の道を歩んでいる大谷。変化を恐れることなく、道具に対しても常に「進化」を求めている。(浅野英介)

産経新聞 2022/8/10 14:16
https://www.sankei.com/article/20220810-5V6T4PH36VFYZM2VOUBPDJLFS4/