またもデマは繰り返された 踏み躙られ続ける沖縄と切実な思い : 「ノンフィクションの筆圧」安田浩一ウェブマガジン
https://www7.targma.jp/yasuda/2022/10/11/post2057/

2022年10月11日 8時00分 🔒

 だが今回は「普天間デマ」に限定して報じたい。

 ひろゆき氏の発言は前例同様、事実を無視し、あるいは調べることを放棄し、ネットで拾ったであろういかがわしい情報を鵜呑みしたものとしか思えない。

 普天間基地のある場所は戦前、宜野湾の中心地だった。役場があり、学校があり、市場があった。約9千もの人々が生活を営んでいた。

 「何もなかった」場所に基地ができたのではない。集落の人々が追い出され、そこに基地がつくられたのである。

 これまで取材を重ねるなかで、私がはっきりと意識したのは、沖縄の基地は地元の人たちが望んだものではない、ということだ。

 またも繰り返されたデマに接し、あらためて確信した。

 沖縄の基地問題の本質とは、まさにこうした人々の言説に一定の支持が集まる「本土」からの視線である。

 冷笑、嘲笑、そして中傷とデマと偏見と。

 つまりは「差別」の問題でもある。

 あまりに基地が多すぎる、沖縄ばかりに基地が集中している──ただそれだけのことを訴えているのに、なぜにこうも沖縄は、あるいは真剣に闘っている人が、バカにされなければならないのか。

 国土面積の約0.6%しかない沖縄県内に、全国の約70%の在日米軍専用施設・区域が集中している現実をどう考えるのか。

 私は2016年に『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日新聞出版)を書いた(その後、文庫版が刊行)。そのなかから普天間基地について触れた部分を、一部改変して本サイトに残しておきたい。

 なお、取材したのは前出の「百田発言」の翌月(15年7月)である。

(略)

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※省略していますので全文はソース元を参照して下さい。