オリックスからポスティングシステムで米大リーグ入りを目指していた吉田正尚外野手が7日(日本時間8日)、レッドソックス入りで合意した。5年総額9000万ドル(約123億円)で、日本から移籍した野手ではカブスの鈴木誠也外野手)を上回る最高額。吉田正の代理人を務めるボラス・コーポレーションのスコット・ボラス氏はウィンターミーティングが開催されている米サンディエゴで取材に応じ、電光石火の大型契約合意の背景を明かした。 「今回の交渉を、私の大好きな新幹線に例えたい」。日本滞在中は新幹線を愛用するボラス氏は米西部時間の7日午前5時に公示され、わずか10時間半後に、合意に達した吉田正のレ軍入りを”新幹線契約”と表現した。吉田正を狙う球団は多かったが、最高の条件を提示したレ軍と即座に相思相愛となった。 「彼が成功するために、注意深く本拠地球場を吟味した。フェンウェイ・パークの左翼が彼にとって、攻守に有益と考えた」。敏腕代理人が吉田正の”成功の地”とにらんだのが「グリーン・モンスター」と呼ばれる高い左翼フェンスがそびえるレ軍本拠地。クッションボールの処理に慣れれば守備範囲が狭く、守備の負担を減らせる一方、打撃ではフェンス直撃の二塁打量産で、持ち前の広角打法を発揮できると読んだからだ。 公示後、多くの球団からオンラインによる交渉リクエストもあったが、レ軍の好条件を受けたボラス氏は全て却下。事実上の一本釣りで契約をまとめ、吉田正に連絡。「通常の交渉の2、3倍の速さ。日本は朝の7時で、彼は夢だと思ったのではないかな」と振り返り、「選手が正当に評価されたと信じれば、交渉事は進む。今回は、彼にとって非常にポジティブな契約だと思った」と即決の背景を述べた。 16年前。奇しくも同じレ軍と、ポスティング制度による松坂大輔投手の交渉をまとめたのも、ボラス氏だった。当時は入札最高額の1球団だけが交渉権を持ち、契約成立は交渉期限最終日のギリギリ。今オフ30日から45日に交渉期限が延長された同制度だが、猶予はいらなかった。公示から10時間半。ポスティング史上異例のスピード合意となった。 「当時とは、制度は大きく変わった。ポスティングフィーの割合が大きく、選手は、総額の半分しか受け取れなかったし、好条件を引き出す(1球団相手の)交渉は時間を要した。今回、私は彼が日本人野手最高額の契約を勝ち獲ったことを誇りに思うし、日本の野手に重要な意味を持つと思う。日本は優れた選手が沢山おり、その資質が報われるべきだ」。吉田正と合意後、ボガーツ内野手とパドレスとの総額2億8000万ドルの契約をまとめた。それから夜遅く、日本メディアのためにホテルのロビーに姿をみせたボラス氏。凄腕ぶりをみせつけ、心地良い疲れと満足感を漂わせていた。

12/8(木) 19:05
https://news.yahoo.co.jp/articles/0d0eec59a004bbb565e7a8362d3c11b603cde67d