クロマグロの完全養殖に成功した近畿大水産研究所が、和歌山県新宮市にある新宮実験場で
世界3大珍味の1つ、キャビアの生産効率を上げようと研究を重ねている。目指すのは、チョウザメを
えさと染色体で「メス化」すること。担当する稲野俊直准教授と木南(きなみ)竜平助教は「キャビアを
もっと身近な存在にしたい」と意気込んでいる。 (森雅貴)
 キャビアはチョウザメの卵を塩漬けにした高級食材。実験場は1995年にチョウザメの飼育を始め、
2008年に採卵に成功した。学内ベンチャーを通じて一般にも販売している。

 ただ、チョウザメはふ化して半年が過ぎたころにやっと精巣か卵巣の一方が発達するなど、オスとメスの
判別が難しい。メスが卵を抱える3歳ごろまではオスも育て続ける必要があり、効率の悪さが生産者の悩みとなっている。
 「チョウザメが全てメスになれば、採れるキャビアも2倍になるのではないか」。研究チームは昨年5月
過去に取り組んだナマズの実験で成功した例を参考に、チョウザメ科に属するコチョウザメの「メス化」に
挑戦。生殖腺が発達していない生後2カ月のコチョウザメ100匹に、大豆イソフラボンの一種「ゲニステイン」を
含んだえさを半年間、与え続けた。
 ゲニステインの濃度を変えた3つのグループから無作為に選んだ個体の生殖器を調べると、含有率0.1%の
えさを与えたグループで、オスの遺伝子を持つ5匹全てで卵巣を確認できた。国内初の成果だった。

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東京新聞 2023年1月7日 11時23分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/224026