北朝鮮による拉致被害者家族会と支援組織「救う会」は26日、東京都内で合同の会議を開き、被害者救出に向けた今年の運動方針を決定した。昨年に続き、日本政府に対し、「(被害者の)親世代が存命中」の全拉致被害者の即時一括帰国を求めるとした一方、一括帰国が実現するのであれば「(北朝鮮に対する)人道支援の実施には反対しない」との立場を初めて明記した。

新方針では、岸田文雄首相が昨年10月の国民大集会で、拉致・核・ミサイルという日朝間の懸案事項に関し、「拉致問題はとりわけ、時間的制約のある人権問題」と指摘したことに言及。被害者家族の高齢化が進む中、家族会などは拉致単独での進展を希望しており、「事実上、拉致を切り離すもので私たちの訴えが通じた」と評価した。


その上で、親世代の家族が存命している間が、解決の「期限」と改めて指摘。輸出入制限など北朝鮮に対する国連制裁に関し、日本政府が、制裁違反にはならない食料支援などの人道支援を解決の見返りとして実行することには、「反対しない」とした。

この日は金正恩朝鮮労働党総書記に宛てたメッセージも発表。平成31年、令和3年に続く3回目で、ここでも、帰国実現の場合に人道支援を認める意向であることを記した。

産経新聞 2023/2/26 18:55
https://www.sankei.com/article/20230226-WHXJWEOT7ZK57HPH2IWZCZXNNM/