TBSテレビ
萩原豊
2023年2月26日(日) 06:00

アマゾン先住民の子どもたちの身体に異変が起きている。脳の異常、神経障害などの要因とみられているのは「水銀」。彼らの毛髪から高濃度の水銀が検出されていた。専門家からは日本の水俣病との類似性も指摘される。現地で何が起きているのか?
萩原 豊(解説・専門記者室長)(全2回のうち2回目/動画はこちら)


拡大を続ける金の違法採掘

アマゾン川の支流、タパジョス川を小型ボートで移動すると、川の中央付近に、不自然に停泊している船と遭遇した。金の違法採掘船だ。船との距離を縮めると、船の中から数人が出てきた。違法採掘の作業員とみられる。我々をスマートフォンで撮影する姿も見えた。

アマゾンには豊富な鉱物資源が眠る。そのひとつが「金」。業者の目的は、川底の土砂を掘り返し、金を浚うことにある。開発が法律で許可されていない特別な保護地域であり、金の採掘は、紛れもなく「違法」だ。

金の採掘過程で、大量の水銀が使用されていると指摘されている。金を含んだ土砂に水銀を混ぜると、一部に金が吸着する。この塊を熱して水銀を蒸発させると金だけを取り出すことができる。蒸発した水銀は大気中に放出される。また金が吸着しなかった大量の水銀は、そのまま川に捨てられるという。

この地域の金の採掘に、2年間で100トン以上もの水銀が使われた、との現地大学による推計もある。その水銀で汚染された魚を先住民が食べることで、水銀が身体に取り込まれているとみられている。

「魚に水銀が多く含まれているという事実を知った後でも、魚を食べるしかないのです。水銀については、とても心配しています」

ムンドゥルク族の母親たちは、魚に水銀が含まれていることを知っていた。それでも、食べざるを得ないと話す。




違法採掘業者が取材に応じた
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/347408?display=1