2023.03.01

阿部 恭子NPO法人World Open Heart理事長





マンション建設現場で15階から25メートル下に転落

2022年、岡山市内の建設現場で働いていたベトナム人技能実習生が、複数の従業員からほうきで殴打されるなど、暴力を受けている動画が報道され、2年間にわたる実習生への暴行の実態が明らかとなった。実習生は、骨折などの重傷を負っていた。

熊本県在住のベトナム人技能実習生の男性・グエンさん(仮名・30代)が働いていた佐賀県の建設現場でも、暴言・暴力は日常茶飯事だったという。

爽やかな笑顔で挨拶をしてくれたグエンさんは、一見、健康的な雰囲気だが、一年前の事故により、歩行には杖が必要で、階段の上り下りは困難な様子だ。

「サッカーが好きでしたが、もう、できないかも……」

グエンさんは、不自由な足をさすりながら、事故現場での壮絶な体験を語ってくれた。

技能実習生として来日したグエンさんは、佐賀県の建設会社でとび職についていた。昨年、熊本市内のマンション建設現場で作業中、15階から25メートル下に転落し、瀕死の状況で救急搬送された。左大腿骨骨幹部骨折、両側多発肋骨骨折、左血気胸、肺挫傷、口唇潰瘍と、連日、手術を繰り返し、一命をとりとめた。命が助かっただけでも奇跡である。

手術後、麻酔から目覚めたグエンさんの周りには病院の医師と看護師のみ。当時、片言の日本語しか話すことができなかったグエンさんにとって、通訳なしでの入院は不安だらけだったという。
 
転落の衝撃によって口の中は傷だらけ。食べ物を口に入れるには激痛を伴った。

(それでも食べなければ死んでしまう……。家族を残しては死ねない……)

グエンさんは、ベトナムに待つ家族の顔を思い浮かべ、激痛に耐えながら必死に食べ物を飲み込んだ。

     ===== 後略 =====
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